粘土
千波 一也


粘土で
象をつくったら
「可愛いきりんね」って
誉められました

たこ風味の
おかしな生きものをつくったら
「足が多いよ」って
注意を受けました

気ままに
まるをみっつ並べたら
「なにがしたいの」って
責められて
「こうしたらお団子よ」なんて
手本を示されました

がっかりしたし
いらいらしたし
悲しくもなったけど
なんにも言いません
言えません

そのかわり
粘土をつぶす力が
強くなりすぎるけど

粘土は黙って
こわれてくれるのでした

何度も
何度でも
こわれてくれるのでした





自由詩 粘土 Copyright 千波 一也 2011-10-05 09:00:36
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