見つめるひと
恋月 ぴの

あきらめてみる

たとえばわたしでいることをあきらめてみる

すると亡くなった母のこととか
ひとりぼっちの寂しさとか

なんだかふぅっと身軽になれて

お線香のくゆりは相変わらず苦手だけど
摘んできた野菊を遺影に手向け

四十九日はもうすぐで

納骨の手はずとか整えないといけないのだけど
あいかわらずの不甲斐なさ

そろそろ一本立ちしないとね

なんて
いきがってはみたものの

足元を整えなおすことさえままならずに




あきらめてみる

たとえば慕い続けることをあきらめてみる

すると好きだったあの人のこととか
手首に残る自傷のあととか

なんだかふぅっと身軽になれて

あいかわらず通りすがりの男の人に彼の面影追い求めたりする
そんなわたし自身も可愛く思えてきた

そろそろ新しい恋のはじまりかな

でもね
彼以外の男の人とか

まだまだ踏ん切りなんてつかないけれど




あきらめてみる

たとえば生きることをあきらめてみる

すると生きる苦しさとか
死に切れないもどかしさとか

なんだかふぅっと身軽になれて

悲しくなるたびに死ぬことばかり考えてた
わたし自身がばからしく思えてしまう

それでも時には
死に切れなかったのは意気地なしだからとか思ってみたりして

旅にでも出てみようかな

見知らぬ土地で
見知らぬ誰かになれるのなら

ただただ秋の風に吹かれて
あきらめた先にあるもの見つめていたい





自由詩 見つめるひと Copyright 恋月 ぴの 2011-10-03 19:45:26縦
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