息子、七ヶ月
ゆるこ

都会は公園が狭い

そこらかしこに人々が置き去りにした言葉がころがっている
威力のない不発弾ばかりだ
今は放射能だかセシウムだかで
こだまのように響いていた子供たちの声もあまり聞こえなくなった

子供は蝉

毎年脱皮を繰り返す、死なない蝉
おっぱいにしがみついて、ごくごくと吸い尽くしながらみんみんとわめいている
薄皮の中から来年の君が間近に迫っているよ
うっすらと、目が合った

見つめること三秒間

グーとパーしかできない手を
大きく伸ばして、何を掴もうか
笑いながら、まだ掴めない
砂や木々を語ろうか

空から落ちてくる

雲が落ちてきた、ぶーぶーも落ちてきた
無邪気な顔で私をたたきながら
狭い公園を眺めるくろいひとみ
ズボンはきれいなまま、曇っていく空と私



自由詩 息子、七ヶ月 Copyright ゆるこ 2011-10-02 16:56:37
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