秋風
nonya


十月の午後の坂道は
陽が傾くほど急になる

呆気なく転がり落ちていく
未消化の棚牡丹と
未開封の地団駄

十月の坂道の午後は
追い縋るほど暗くなる

勝手に暮れなずむ
未完の裏切りや
未踏の指切り

温もりと湿り気を
青空に売り渡しそうになる
愚かな自分を
長袖シャツで押し止めて

気取った素振りで
坂道を滑る

遣り過ごしたふりで
午後に沈む

なんとなく何かに
しがみつこうとしたら
秋風がつれなく
薬指を掠めた




自由詩 秋風 Copyright nonya 2011-10-02 16:05:13
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