臓器のかなで
乾 加津也
肩上から指先にむかってながれる一本(くだ)を
ふき こすり たたけば
装置はあやしく
黄昏もする
段々畑にくみあがる椅子に 沈み
ホールそのもの
の
しずくのような響体構造が 浮く
口内に含み 移す されるわたしの
心拍いちども 増幅したがる単調は
もううんざりと言っている
なぜオーケストラ
目をふせて さそう かざす
てんたいかんそく
「気管をすっと刺しいれた
處(いわ)」
(大声で)外は激しいかあ
(・・・わたしは 初めに いいたかった・・・)
宵やみに 星
明けの放佚 よろこび踊る川辺の小人の
とめど わきでる処で
(・・・わたしは 初めに いいたかった・・・)
そうね
けっして濡れないアルファベットがほしかったんだよね
オー(くだ/かいてん/くだ/はんてん)を
意志と
こうかんに
(・・・初め たかった・・・)
一瞬まえの鏡像を まねて
くだびとはひとり 立つ
ここでは
鯨が
プランクトンを丸呑みするほどに荘厳で
バイオマスは青く
波長は赤く
リズム(有史)は いくつもの息を 放り投げ
あなたもなんとこまやかな連打であわせ
か細く
長く
うたっていることか
プラネタリウムの
今にもただれおちそうな その
からだ(ひとつ)で