なわとび無限地獄
花形新次

お嬢さんは入らない
永遠に入らない
けれど僕らは
いつまでも
なわを持った腕を
まわし続ける
四十肩の痛みを堪えて
ひたすらまわし続ける
声を嗄らして叫び続ける
「お嬢さん、お入んなさい!
 お嬢さん、お入んなさい!」
それでも
お嬢さんは入らない
ときおりフェイント気味に
足を踏み出す真似をする
僕らが「いよいよか」と身構えると
途端に力を抜いて
僕らを馬鹿にしたように
指さしながらクスッと笑う
そしてその場で
軽やかにバレエを踊って見せたりもする

いつ終わるとも知れない
無限の繰り返し
無限の、繰り返し

僕にだって
我慢の限界ってものがあるから
そんな人を舐めた態度を続けるようなら
このなわでもっていっそひと思いに・・・

そんなことを考えているのが
僕の表情に出たのだろう
大人の君は
僕に諭すような視線を送り
首を静かに横に振った

「続けるも地獄、止めるも地獄
 同じ地獄なら、まわさにゃ損、損」

そうやって僕らは永遠にまわし続ける
このなわを永遠に















自由詩 なわとび無限地獄 Copyright 花形新次 2011-09-28 17:36:43
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