足る景色(1)
野澤 尚也
週五日希望ですが
あとの二日こそが希望です
そんなもん
人を幸せにする幸せを
知っているあなたよ
ありがとう
あなたのおかげで
この社会はやさしい
それでも
しあわせな人生など
あるものではない
かんぜんな
しあわせなど
電車の中吊り眺めて
ひきとめられた広告写真のしあわせに入り込み
永遠の大きさに 引き延ばしたいな
ぼくの人生それがいいな
(完璧主義なぼくは
おわってしまう喜びが
何よりも嫌いだった)
きんじょのスーパーで買っただろう服を
ちょっと妙な着こなしで
しょうじきかっこうわるいけど
ひとつひとつに感動し
屈託のない笑みを見せる
おかあさん の
うつくしさに
ぼくは泣いてしまいそう
あいしている
あのこにもにてる
この身の回りにあったものが
心底抜け出したい苦しみが
どうしてこんなに
きれいなんですか
みんながぼくにくれるもの
そのひとつひとつにあこがれる
すこしはうたれ強い形になって
しなやかに
艶やかに
にじんでゆく
ぼくのこころを
みてね
なにをかえすとか
はっきりいえないけど
あんな時間が流れている
あんないっしゅんだけは
えいえんになってほしかった
だけどかわらず日はすすむ
かなうのかわからない
希望をもちながら
一週間は七日だって希望です
区切る仕組みに奪われないいのちを
忘れていなければ、
また明日。