詩作する人
乱太郎


昼下がりの人気の少ない公園のテーブルで
ノートを広げ
考え込んでいる様子

まさか遺書でないでしょうね
まだまだ若そうな女性の人差し指が
あごを支えて止まっている

見知らぬ人だから
気安く声を掛けることもままならないが
ベンチで日向ぼっこしている
新川和江の詩集を見て
ああ
もしかして詩人

白地の紙から
見知らぬ言葉を浮かばせようと
魔法の呪文を唱えている最中なのかも

あなたはきっと
眩しい光りから甘い蜜を絞り出し
あなたはそこで
眩しかった青春を絵手紙に納め
あなたはそこから
眩しく見える幼子の背丈に印を付けていくのでしょう

公園を去る時
もう一度振り返ったら
小さな指に絡まったペンが
大きく歌いながら踊っているように見えた


自由詩 詩作する人 Copyright 乱太郎 2011-09-28 15:35:36
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