詩作する人
乱太郎
昼下がりの人気の少ない公園のテーブルで
ノートを広げ
考え込んでいる様子
まさか遺書でないでしょうね
まだまだ若そうな女性の人差し指が
あごを支えて止まっている
見知らぬ人だから
気安く声を掛けることもままならないが
ベンチで日向ぼっこしている
新川和江の詩集を見て
ああ
もしかして詩人
白地の紙から
見知らぬ言葉を浮かばせようと
魔法の呪文を唱えている最中なのかも
あなたはきっと
眩しい光りから甘い蜜を絞り出し
あなたはそこで
眩しかった青春を絵手紙に納め
あなたはそこから
眩しく見える幼子の背丈に印を付けていくのでしょう
公園を去る時
もう一度振り返ったら
小さな指に絡まったペンが
大きく歌いながら踊っているように見えた