浜辺にて
つむ

こどもたちの柔かい足のうら
パンのくず
魚、いるかな?

丸い5つの指を持つ足のうら
太古の感動を砂に記し
波の中の気泡に笑う

こどもたちの小さな足のうら
血管の美しくすきとおるその足跡
魚、いるかな?
いないね


こどもたち  
魚は 死んで
おとなたちは革靴のなかに
その屍骸を隠している

砂だらけの足のうらが帰ってくる
いくつも

魚 いなかった
いたよ
いなかったよ

魚 どこへ行ったの?

わたしは砂をつまみあげる

魚 魚は
今夜の夕食になっている
わたしたちは魚をくらって
歯を磨いて眠るんだよ

私は目を細める
かなたに鎔けている水平線
その向うにあるという島を
地図でしか見たことがない

多分 海底の近くに
ねむっているのだろうね

私のなかで こどもたちが黙りこむ。


自由詩 浜辺にて Copyright つむ 2011-09-27 21:41:51
notebook Home 戻る