墓石
草野春心



  墓石があるから
  人は静かに死んでいられる



  出来れば
  喧しく死んでいたい
  醜く腐食し
  おぞましい異臭をはなち
  いつまでも
  この世に迷惑をかけていたい



  だが
  君よ
  もう秋だ
  一匹の蜻蛉が勿体ぶって
  君の墓石にとまる
  違う
  違うだろう
  そこは君の指じゃない
  そこは君の頬じゃない
  そこは君の膝じゃない
  なんと言えばいい
  なんと言えばいい
  君は
  静かに
  死んでいられる





自由詩 墓石 Copyright 草野春心 2011-09-27 17:53:02
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