ひとつ 接ぎ季
木立 悟





輪と輪
夜のみどりの音がしている
鳴らない鈴のなかを
くぐってゆく


月の満ち欠け
柱の内周
どこまでも
砂の色


光は降りて
枝を揺らす
土につく間に
また枝となる


黒い涙の跡
音の茎をたどり
夜は三つ
深まってゆく


暗い氷を
草が動き
命なきものを
命にしている


絶え間ないつたなさ
震えの逆手
抱くことは燃すこと
夜と 夜を視るものの距離


夜は偶然の夜に似て
さして上手くない楽器を奏でる
水の耳を振るい
返る強弱の径をゆく


ひとつの指に閉じる空
呑みこむたびに発する空を
喉の羽の鎖骨に集め
冬はまだか冬はまだかと歌い出す



























自由詩 ひとつ 接ぎ季 Copyright 木立 悟 2011-09-24 22:30:51
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