篝火を燃やせ、本当の言葉はメラメラと燃えているものだ
ホロウ・シカエルボク




まわりに俺を気にかけてくれる人間が誰ひとりいなかったとしても
孤独だなんて思ったことなんかないぜ
俺はスペシャルな感覚を手にしていて
そしてもっと欲しいといつでも喉を鳴らしている


ルーム・サービスの味気なさにチェック・アウトして
満員電車のムサ苦しさに我慢できず飛び降りて
上司の口の聞き方に我慢が出来ずブン殴って
ただただ求道的なだけの
本格派となんかひと言も口を聞いたりしないぜ


俺はスペシャルな感覚を手にしていて
そしてもっと欲しいといつでも喉を鳴らしている


メイン・ストリートでやりきれなくなった女がストリップ・ショウを始めて
顎が斜めに開閉する若者たちがそれに群がる
口笛と歓声と拍手が暴発花火のように入り乱れる路上
その音の中でもう女は生きることに対する最後の望みを捨てた目つきをしている
その瞬間のことが俺には判った
その瞬間のことが俺には…


下水管が詰まって喉まで来てるような気分がしてるとき
俺は誰かの気まぐれに期待したりなんかしない
自分でそれを飲み込む方法を考えるか
あるいはいっそ上から吐き出すかしてみようと思案する
吐き出すのなんてあんまり素敵なことじゃないけれど
吐き出せずにいるなんてそれよりもっと最悪なことなのさ


俺はスペシャルな感覚を手にしていて
そしてもっと欲しいといつでも喉を鳴らしている
週末の夜明けはとんでもなくギラついていて
存分に怠慢な欲望を俺は消化するのさ
ストイックなシーンが
メラメラと燃えあがってくるのはいつでもそのあとなのさ


篝火を燃やせよ、間接照明ばかりで気取っていちゃ
目を焼くような痛みこそが光だってことをいつか忘れてしまうぜ
裏通りを歩くときだって信念を持たなくちゃ
人の道を外れてしまったって自分の道だけは忘れないようにしなくちゃ
俺はどうしようもないごくつぶしで
小銭を稼ぐこともままならない甲斐性なしだけど
だからこそそんなものにたいした意味はないって知ることが出来た
生物的に無能な奴らはは一番楽な妄想に乗っかって踊っているだけだって


篝火を燃やせよ、本物の炎はたまらなくデンジャラスで
そしてセクシーなヴァイブレーションを披露してくれるぜ
間接照明の中で気取ってるだけじゃ
じりじりとした感覚はこぞってどっかへ行っちまうぜ
篝火を燃やせ、炎を飲み込め、お前の心の中で形を変える火を
お前の言葉としてもう一度吐き出せ
本当の言葉はメラメラと燃えているものだ
その熱さをお前も感じてくれたらいいのだけれど


俺はスペシャルな感覚を手にして
そしてもっと欲しいといつでも喉を鳴らしている
もっとスペシャルなことがこの世界にはきっとあるはずだから
お宝に獲り憑かれた冒険家のように求め続けるのさ
炭鉱夫の様に潜り続けるんだ






自由詩 篝火を燃やせ、本当の言葉はメラメラと燃えているものだ Copyright ホロウ・シカエルボク 2011-09-23 09:59:26
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