座る非在
シホ.N


重みのみ
かたどられて
古びたソファに
なお
居つづけるものあり

存在しないことの
実在
居つづける
無きもの

その日の窓枠が低すぎたので
思惑どおり
その人は落ちてしまった
心に
恐れが落ちてきたのだ

時間の積もる
ソファのくぼみ
存在のふち
落ちた人の
存在のふち

嗚呼
嘆きでなく激しささえも
なにもない
畏れのままに
云ってはならないフレーズだらけ

心の
なにかが
落ちてくるのだ

重みのみ
かたどられて
いったい
こんなふうに在るという事が
あるのか



自由詩 座る非在 Copyright シホ.N 2011-09-22 23:16:18
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