『ビニール傘』
あおい満月

雨を眺めていると
胸の奥が軋みだす
いつかの転んだ日の傷を思い出して
こんな日に新しい服なんて
着てくるんじゃなかったと
噛んだ唇に赤く残る歯形

雨の日は
悔しいことばかりを思い出す
たったひとつ、
あなたと出逢った日を除いては
ビニール傘をさした優しい男の子がくれた銀の月が
手のひらに輝いている

もうすぐまた、
あの日がやってくるね
雨が好きになれる日が

わたしも
ビニール傘を持ってあなたを待つ
風が微かに冷たいけれど


                        平成二十三年九月二十一日(水)
                      


自由詩 『ビニール傘』 Copyright あおい満月 2011-09-22 09:53:11
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