わたしがでかけたあとに
つむ
わたしはでかけた
わたしの最大公約数を求め。
みっつのふしぎがおどる
わたしのまわりで、
しかたなさそうに手をつないで。
わたしはでかける
鏡の洞窟を通って。
おどるものたちも息をひそめ
黙り込む、
わたしの視線をのがれて。
わたしはいつかでかけるだろう
さいごのやすらぎを求めて。
まくらもとにはふたつの影、
場違いにほほえんでいるのがいい
もはやひとつへと収斂しながら。
わたしがでかけたあとに
かなしむ人はみるだろう
横たわるわたしの口元に
やさしく残された最後のひみつ、
春の日のような微笑みを。
そのほろ苦い祝福を
わたしはここにおいてゆきたい
未来という名をひとつ与えて
わたしがでかけたあとも、なお。