機影
三条麗菜

君が放った白い空に
黒い機影が映ります

それは爆撃しにきたのか
それとも救援物資を運んできたのか
分からないけれど

ただ機影だけが
近づいてくるのです

かつて私の中に
雲一つ無い青空があって
私はそれをずっと守ってきましたが
君に逢ってから
私はこの空が
それを守ろうとする自分が
嫌になりました

なぜなら
空には太陽が無かったからです

君は私の空を変えました
もう青空ではないけれど
白く煙るその向こうに
うっすらと太陽が見えるのです
私が待ち焦がれた光が
それはもうすぐこの白い空を突き破り
まっすぐに
まっすぐに
私に射してくるはず

でも
でも
機影が

それは白い空のかけらを
絡みつかせて飛んできます
それは幼い頃の君を乗せて
震えながら飛んできます
それはあくまで影でいようと
何も明かさず飛んできます
無言で
そして滑るように

いっそあの機影に吸い込まれようか
その方が正体を見るよりも
楽だと思うから


自由詩 機影 Copyright 三条麗菜 2011-09-17 23:50:27
notebook Home