おもてなしぃ妖怪
るるりら

わたくし 妖怪 おもてなし と申します
わたくしの体のほとんどの部分は 水なのでございます
人間の水分量は六割だそうですね 人って よくそれで生きておれますわね

たわいのないことを地獄だのと言っている
だれかの言葉に 絶望とかの文字を置き換えてみたり
そのすべてを みなぞこに しずめてしまえば きっと
無数の虹の輪ができるのですのよ


ゆだる西日のあたる 小料理屋で
故郷の深海を夢見ますの
深海に棲む生き物の腹の内は みな腹黒い連中なのでございます
透明な自分にあきあきしています
深海に棲む生き物は 透明なものが多いのでございます
食べたものが透けて見えるのが怖いのです
とらえたモノのせいで  こんどは 自分が狙われるのではないかと
腹の内側を黒くする そんな存在でございますの

しかし
わたくし 昨日もその前も こんなことばかりだったけれど
きっと 明日は きっと 水面を叩く
太陽に翻る私の鰭


と、いうこと夢みていたのは昨日までの話ですわ
どんなわけだかしりませんが、地上に あがってまいりましたら
アンコウとかよばれて 引き裂かれてしまいましたの

いやですわ わたくし 妖怪の中の妖怪 その名も おもてなし
といいますのに

あら あなた 泣いておられるの?うらのない方ね
わたくしは おもてがないのでございます


自由詩 おもてなしぃ妖怪 Copyright るるりら 2011-09-16 21:19:54
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