blue

あの人には
あの人だけの言葉があることを知って
それを聞き洩らさぬようにと
心を砕いた時もあったけれど

いつの頃からか
あたしは
それをやめてしまって
やめてしまったら
あたしは
なんとなく
あたしをやめてしまったような気になって

そうしているうちに
あたしのからだの
あちこちに穴が開いて
穴が開いたあたしは
ぺらりと軽くなった

穴からのぞいた空は
穴が開く前と同じ色をしていて
心が狭いと思っていたのは
案外 誰かの思い込みで
ほら あたしの心ってこんなに広いじゃん と
見せびらかしたい気分になる

外すのを忘れたピアスに
誰かの歯がかちかちとあたるけど
すっかりぺらりとなったあたしは
もうすっかり無関心

月が変わっても
まだまだ暑いアスファルトの照り返しに
すっかりぺらりとなったあたしは
もうすっかりおさらば


自由詩Copyright blue 2011-09-15 10:12:48
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