月と不死
春日線香

目を瞑り月の女の名を呼ばう 指に安らう蛾のやわらかさ

梟の灯りを頼りに船は進む 翼は煙 心は砂糖

銀の盆 兎が行き来するたびに紫色の林檎が落ちる

不死の父を時計の中に閉じこめて蠢く鍵を水に沈める

蒼白の月の光で生きたまま燃やした手紙は月に昇る


短歌 月と不死 Copyright 春日線香 2011-09-13 00:27:27
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