明月によせる
橘あまね

ちりちり、ちりん
しゃりしゃらん

秋のはじまりの夜は澄んで
いくつもの水面に映し出される
まるい光を数えて歩きます

ふくらんでいく気持ちが
ぼくの肋骨を、内側から
甘く、うずかせます
ずっとそこにあった気持ちが
光をあびて
急速にはぐくまれていく

弱さにもとづいた強さと
強さにもとづいた弱さ
やわらかく香る花のように
光に向かって

ちりちり、ちりん
しゃりしゃらん

遠い街で、おなじ月を見上げる
きみのことをおもう


自由詩 明月によせる Copyright 橘あまね 2011-09-12 22:08:09
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