許されたひと
恋月 ぴの

人一倍寂しがり屋なはずなのに
気がつくと、いつもひとりぼっちになってしまう

これも運命ってやつなのかな




みんなはひとつの輪になっている
それなのにわたしだけ一歩後ろに下がっていた

というか、あれはなんだろうね

肘とかで弾かれたわけでもないのに
気がつけばわたしひとり輪の外へ出ていた

今さら、ひがんでもしかたないから

みんなが笑えばわたしも笑う
みんなが頷けばわたしも頷いて

さあ行こうか

なぜだか、わたしひとりだけその場に取り残され
みんなは、どこかへ行ってしまう

おしゃべり楽しそうだったよ
なのでわたしも楽しかったふりをする




わたしはボトルに入れた手紙になりたかった
遥か七つの海を旅して
やがて好きだったあのひとに拾われる

わたしのことなんか忘れてしまっているだろうけど
つたない文面から思いの丈の僅かでも彼に伝わるのなら

これまでの人生は無ではなくなるし
彼のこころの片隅で生きていくことができる




おひとり様って便利なことば

胸元まで冷たい湖水に浸かっているはずなのに

安らぎさえ感じられて

お魚にでもなったように掌で許されることの幸せ感じながら
爪先で星屑みたいな砂を蹴る






自由詩 許されたひと Copyright 恋月 ぴの 2011-09-12 19:38:38
notebook Home