許されたひと
恋月 ぴの
人一倍寂しがり屋なはずなのに
気がつくと、いつもひとりぼっちになってしまう
これも運命ってやつなのかな
※
みんなはひとつの輪になっている
それなのにわたしだけ一歩後ろに下がっていた
というか、あれはなんだろうね
肘とかで弾かれたわけでもないのに
気がつけばわたしひとり輪の外へ出ていた
今さら、ひがんでもしかたないから
みんなが笑えばわたしも笑う
みんなが頷けばわたしも頷いて
さあ行こうか
なぜだか、わたしひとりだけその場に取り残され
みんなは、どこかへ行ってしまう
おしゃべり楽しそうだったよ
なのでわたしも楽しかったふりをする
※
わたしはボトルに入れた手紙になりたかった
遥か七つの海を旅して
やがて好きだったあのひとに拾われる
わたしのことなんか忘れてしまっているだろうけど
つたない文面から思いの丈の僅かでも彼に伝わるのなら
これまでの人生は無ではなくなるし
彼のこころの片隅で生きていくことができる
※
おひとり様って便利なことば
胸元まで冷たい湖水に浸かっているはずなのに
安らぎさえ感じられて
お魚にでもなったように掌で許されることの幸せ感じながら
爪先で星屑みたいな砂を蹴る