メロウ
千波 一也


いらない人など
どこにもいないと云うのなら
いらない悲しみもきっと
どこにもない

いらない人というものが
もしもどこかに在るならば
目の前の喜びに怯える日々は
ずっと積もってしまうだろう


甘い果実もにがい果実も
内に秘めたはかなさは
どれもたがわず軽やかで
どれもたがわず重たくて

はかないものの別名は、永遠となる


一個だけでは成しえない
ひとりだけではたどり着けない
互いのちがいが消えないように
だれも同じく熟れてゆく

たとえどんなにはかないものも
ひとつ残らず結ばれて
ひとつ残らず永遠になる
たとえどんなにはかないものも







自由詩 メロウ Copyright 千波 一也 2011-09-12 18:51:06
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