パレード
古代 透


 眼鏡を外して電車を降りた
 閉園のアナウンスが流れる頃に
 金属製のゲートをくぐった

 アスファルトの水滴が
 輪郭を失ったパレードのように
 商店の光を反射していた

 黄色のビニール傘をさして
 何か大きな荷物を抱えた男女と
 すれ違う
 
 破れてしまいそうな薄い肌に
 どんな表情が滲んでいたのだろう

 最後の客として急かされるように
 ピンク色の観覧車に乗り込む
 懐かしいメロディが
 雨と空気の隙間を流れている

 本日は雨により運転を見合わせています

 あの日、ジェットコースターは
 頂点にはりついて動きを止めていた

 母の手にしがみついて
 どうしても乗りたいと
 泣き喚き困らせた

 観覧車から窓を覗けば
 くるくると光の粒が輪っていく



自由詩 パレード Copyright 古代 透 2011-09-04 19:31:53
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