淘汰
紺
いいわけが思い付かなくなった
こじつければ無限にあった
あの頃は確かに
言葉は弱い私たちの
味方だった
* * * * * * *
体育館の
高い窓を見ていた
仰げば尊し
我が師の恩
小さな雲がひとつ
窓から窓へ
ひどくゆっくり
流れていった
* * * * * * *
眠らないことで
抵抗した
気配もなくすり抜けていく時間を
とどめたかった
時計と同じだけの歩幅が
ずっと合わずに
* * * * * * *
そうだ
不安の中に
矛盾した安堵があることを
発見した
落ちていく途中で
飛んでいるような錯覚を
暴力の中に
愛を
老いていく歳月に
生まれ戻るような望郷を
* * * * * * *
夢を見ていたんだと思う
全ての出来事は現実に起こったことだけど
夢の定義が「不確かさ」なら
過去は夢なのだと思う
あれは夢だった
色も痛みもある夢だった
* * * * * * *
一人がすきだった
一人だということを
その時だけは
忘れていられた
* * * * * * *
さようなら
「さようなら」に
さようなら
この世に別れなんかないよ
別れなんかないから
離れるしか方法がなかった
一度始まってしまったこの絆の切り方を
本当は誰も知らない
* * * * * * *
口ばかり達者で
行動が伴わない私を
正しく軽蔑するあなたが
とてもとても疎ましく、
とても
眩しいです
自由詩
淘汰
Copyright
紺
2011-09-04 11:59:22
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