ゆく夏に
千波 一也



あの灯りのなかに
いつかの僕たちがいる

迎えるでもなく
さよならでもなく
あの灯りのなかに
懐かしい日がある

見えないものに
この目を輝かせる僕は
いつかの日々の
星かも知れない

背伸びなんかじゃ
星にはなれない
眩しいだけが
星じゃない

そうして僕は背を向ける
夕刻わたる涼風に
あらがうでもなく
屈するでもなく

ゆく夏に
置いてきぼりに
されないように

ゆく夏に
僕をたしかに
預けるために







自由詩 ゆく夏に Copyright 千波 一也 2011-09-04 08:03:04
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