夕日
花キリン


夕方になると
家の中の丸いテーブルに
収穫した夕日がたくさん並べられた
トントンとまな板で
取立ての収穫を刻む音は軽快で
一日の話題は素朴だが
夕日色に包まると砂糖の香りがした
夕日が料理され
賑やかな夕食が始まる
ときおり思いがけないものが
持ち込まれたりして
丸いテーブルが一杯になったりする
あの時の会話は
記憶から遠ざかったままだ
今も食卓の素朴さに変化はないが
夕日色の甘い香りが懐かしい
あれが故郷の味だったのかも知れない
もう丸いテーブルはないが
夕日を持ち込んでは
故郷を懐かしく思い出している



自由詩 夕日 Copyright 花キリン 2011-09-04 07:59:46
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