夏の終わり
葉leaf

あの空にはたくさんの墓標が立っている
その墓標の苔から僕はひっそりと落ちて来たのだ
今僕の帰りを待つのはその苔ではない
苔はすっかりきれいに掃除された
僕は新品の棺へと
色のない花々にうずもれて空へと帰っていくのだ

例えば友情だったり愛だったり憎しみだったり
そういうものの溶けた血液が僕の中で暗みを増した
(僕はついに「青春」が何であるか分からなかった!)
木々から訪れてくる深い言葉たちの交錯
(僕はついに社会の中を泳ぎ切れなかった!)
故郷の風から失われた歴史の圧力に
小さな指をひとつずつ指し示しながら
(僕はついに生まれることがなかった!)

頭を掻く
正座する
水を飲む
本を読む
散歩する
さていずれが正解だったか
その正解も実は不正解であった
そのようにして夏は暮れていった


自由詩 夏の終わり Copyright 葉leaf 2011-09-04 05:22:16
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