Baby もうおやすみ
はだいろ

今日も病院へ行った
お水とティッシュを買って行った
廊下ではもうお腹の大きい妊婦さんが
痛い痛いふうふう言いながら
旦那さんに背中をさすってもらっていた


彼女は具合がやはりよくないようで、
(もっとも、入院してるのだから、
当たり前なのだけれど)
にっこり笑って、
横になったままだ


ぼくは、よほど、ひとつのことを聞きたかった。
ねえ、きみは、
赤ちゃんが、お腹に、宿ったことが、
嬉しいと思っているの?
ぼくは自分の嬉しさを伝えきれていないのだけれど、
それは、
伝えたほうがいい時期を、
もう少し待つべきなのではないかと、思っているからだ。

だから、
そんな問いかけも、
今はするひつようは、やっぱりないと思う。
一日一日、
赤ちゃんは大きくなる。
だから、きもちだって、揺れてゆく。
もちろん、いつ、どうなるか、まだまだ、
わからないのだけれど。
ぼくは楽観している。
きりんの赤ちゃんの可愛さくらいに、楽観している。

だからBaby、今日はもうおやすみ
また明日、来るからね。
病院の窓から、
いっせいに飛び立つ鳥の群れが見えたから、
びっくりして、
彼女と空を見た。
よく見れば、色とりどりの、風船だった。
近くで、
コンサートをやっているらしかった。






自由詩 Baby もうおやすみ Copyright はだいろ 2011-09-03 21:21:06
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