似ているようで同じでない
麦穂の海





○と□は似ているようで
□と○は同じでない

□と△は似ているようで
△と□は同じでない

共に感じるということと
分かったような気がすることも

似ているようで
同じでない




これは二次元だが

われわれ人間の住む世界は
三次元である

コップ一杯の水に浮かぶ凍ったカケラと
アイスブルーに光る南極の氷山と

同じ氷だが
同じでない

サバイバルゲームと
アフガニスタンの侵攻は

同じゲームだが
同じでない

日本銀行発行の福澤諭吉と
赤瀬川原平作の福澤諭吉は

同じ一万円札だが
同じでない

水平線が切ないのは
海と空があれほど分ちがたく
重なっているように見えるのに

実際には永遠に平行したままだからだ

だから

雲を介しての、眼に見えない
つながりを懸命に想像する


共に感じるということと
分かったような気がすることは

同じではない
同じではなかった

le vendredi 2 septembre 2011


自由詩 似ているようで同じでない Copyright 麦穂の海 2011-09-02 03:57:08
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