ノート(焦土 ささやき)
木立 悟





途切れることのない
偽の街
地図は割れた灯に
消えかけて


婚姻の爪
婚姻の爪
風より低く
背の星々をあおぎみて


午後と夜のあいだの緑
一日に一度の雨
一日に一度の笛
すぎる虹 すぎる虹


雷と滴の洞を
夜は通る
楽器をあずけ
また受け取る


花が生えて
止まった時計を
焼野原に置いた
別のかたちに震え出すまで


半分の水
半分の径
行方の曇
落ちる色 見張る岩


約束のように
鉄から来る花
抜いても抜いても
地に火は生える


奥にゆくほどかがやきは
かがやきの他と分け難くなる
だからだからこそけだものは
道にひとつずつ 光を置く


熱を聴き
闇をゆくもの
飛べぬ鳥の羽
離れ 歩む羽


白と黒の指
紅いあやとり
ここにはいない
寝顔をつくる


針と文字のある糸電話
くすぶる土に生えつづけ
かざぐるま なおかざぐるま
遠いひとつにささやきつづける


























自由詩 ノート(焦土 ささやき) Copyright 木立 悟 2011-09-01 23:05:50
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