迷子
たもつ

 
 
縄跳び遊びをしていると
友だちの山村さんがやってきて
それ、ヘビだよ、と
声をあげて笑う
よく見るとわたしの握っているのは
ヘビの頭と尻尾
地面に何度も打ちつけられたヘビは
ぐったりと息絶えている
ヘビを殺してしまったのは初めてなので
とてもどきどきしていると
埋めてあげよう、と山村さんは言った
二人で穴を掘り、ヘビを入れて
シャベルで土をかける
しばらくすると、山村さんが
自分に土をかけてるよ、と
いっそう大きな声で笑いだした
気がつくと穴の中にはわたしがいて
自分で頭から土をかけている
泣きながら土をかけている
穴から出て辺りを見まわす
山村さんもヘビもいなければ
縄跳びも穴もない
だだっ広いところに一人で立っている
迷子になったことまでは理解できたけれど
誰を探せばよいのか忘れてしまった
 
 


自由詩 迷子 Copyright たもつ 2011-08-30 18:05:47
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