W.K.第四回「低価格で買えるCD短評〜邦楽編第一弾」
たもつ

 しかし、W.K.も四回目を迎えました。
 と、唐突に書き出しますか、という感じの四回目です。不評ですが、続けます。前回の「細々と」からさらに下方修正してみます。
 さて、今回は少し趣向を変えまして、中古ショップで100円から250円程度で買えるアルバムの短評でもしてみようかと思います。それくらいなら、失敗しても痛くないかな、くらいの価格帯のもの、ということで。
 特価コーナーに並んでいるから、微妙に買うかどうか悩んでいる、という方のための参考となれば幸いです。お勧め度を5点満点で採点しています。なお、当たり前の話ですが、お勧め度はあくまで、私の主観に基づくものであり、「お前を信用して買ったのに全然良くなかった、金返せ」、と思っても、コンビニで買った清涼飲料水を誤って利根川に落としてしまった、くらいの気持ちに切りかえてくださいませ。
 中には、中古CDを買うことに抵抗感がある方もいらっしゃるかもしれませんね。中古CDを買っても儲けはショップにしか入らず、アーティストや作詞作曲家やレコード会社に印税は入らない、という理由で。今の日本では、所有権という観点から中古ショップでの売買は合法とされてますので、誰からも文句を言われずに購入できますが、それでも多少の後ろめたさのある人は、気に入ったアーティストを発掘したら、他のアルバムはレンタルするなり(印税は発生するそうです)、新品を買うなり、カラオケで歌いまくるなりして、還元してあげるのもひとつの方法かもしれません。
 それでは、第四回始めます。邦楽編第一弾。

1.ICE

「We're in the Mood」(購入価格:105円 点数:3点)
いわゆる渋谷系、と言われているICEです。クラブミュージック、と言うんでしょうか。かっちょいいです。どうにもこうにも語彙が不足して他に言いようもないのですが。ボーカルの国岡真由美さんの声が、セクシー。なのに女性を前面に押し出したような感じでもない。楽曲も音の作りが丁寧で完成度が高いです。難点は割と似たような雰囲気で曲が続くので途中で飽きてしまうところ。最初に買うなら、この下の「ICE TRACKS Vol.01」をお勧めします。ただ、この高品質の音楽は携帯プレイヤーのシャッフル要員としては十二分に存在感があります。

「ICE TRACKS Vol.01」(購入価格:250円 点数:5点)
 がっつりとICEをアルバムで堪能するなら、これ。ベスト盤なんですが、単に曲を羅列しているのではなく、最初から最後まで目の行き届いた、しっかりとアルバムとしての意義を感じさせる一枚です。必聴はやっぱり何と言っても三曲目の「MOON CHILD」。クラブミュージックとポップスの気持ちの良い融合。故宮内さんのコーラスというんだろうか、合いの手というだろうか、DJというんだろうか、それがね、ばっちりときまってます。宮内さんの声が前面に出ているのがあとは一曲目の「FUTURE」。こちらも素晴らしい。もっと宮内さんの声、聴きたかったな。
 

2.小沢健二
「LIFE」(購入価格:105円 点数:5点)
 Amazonでも1円中古になってないので、この価格で買えたのは巡り合わせが良かったかもしれません。おざけんの歌はへたうま、というより寧ろ下手。下手くそ。それなのに、とても色気があってキラキラしています。さすが王子(本人は王子キャラが嫌だったようですが)。楽曲もアップテンポの曲が多くて、最初から最後まで飽きずに、高いテンションで聴くことができます。やっぱりこの人の魅力は詞なんだろうなあ。身の丈にあってる、というか。音楽関係者からは、こっち見んな、と言われそうですが、詩のリーディングに近い雰囲気。実際、一曲目の「愛し愛されて生きるのさ」では詩のリーディングしてるし。おざけんを初めて聴くなら、先ずはこのアルバムから。

「球体の奏でる音楽」(購入価格:250円 点数:4点)
ミニアルバム。上の「LIFE」に比べると、しっとりと落ち着いた感じ。ジャズっぽくってお洒落。ただ、それはギミックで、中身はしっかりと、おざけん。おざけんが気に入ったら、これも聴いて損はないです。ちなみにソロデビューアルバム「犬は吠えるがキャラバンは進む 」(再販版だとアルバムタイトルは「dogs」)もお勧めです。特に「天使たちのシーン」は13分という長さにも関わらず、もっと聴いていたいと思わせるおざけん節全開の名曲です。おざけん、小山田辺りについては、また機会があったらまとめてレビューします。


3.ORIGINAL LOVE

「風の歌を聴け」(購入価格:105円 点数:4.5点)
 どこかで聞いたようなタイトルですね。ちなみに渋谷系周辺が三組続いてしまったのは偶然です。この人の声、いいですね。重厚で。今は一人でORIGINAL LOVEを名乗っていますが、このアルバムの頃はまだバンドとして活動していました。「朝陽のあたる道」は名曲。キャッチャーなバラードですが、その他の曲は割りと癖があります。特に初めて聴くときは一曲目と二曲目は辛抱が必要かも。慣れると、その癖が病みつきになります。私のヘビロテのひとつです。

「Desire」(購入価格:105円 点数:4.5点)
 ひとりユニットになった最初のアルバムです。各種の民族音楽の要素が詰め込まれた、なかなかのカオスな一枚。音の作りこみが良く、かつ、それがこの人のソウルフルな声と凄くあっていて、迫るものがあります。一曲目の壮大な前奏とヴォーカルに飲み込まれていきます。九曲目の「プライマル」は民族音楽的要素がなく、「朝陽のあたる道」と双璧をなすバラードの名曲ですが、他の曲に慣れてしまうと、寧ろもの足りなさを感じるほど(逆に良い箸休めにはなってますが)。なお、全くの雑談になりますが、この人がピチカートファイブのメインボーカルをやっていた時代がありました。今考えると、とても不思議。


4.FLYING KIDS

「続いてゆくのかな」(購入価格:105円 点数3.5点)
 学生時代はテレビもラジオも無い生活をしていましたが、最後の一年間はコンビニでバイトをしていたので、店内で有線を聴いていました。丁度、イカ天ブームの時ですね。よく流れていたのがFLYING KIDSの「幸せであるように」でした。この曲が聴きたいがためだけに、購入しました。105円だし。ファンク、っていうんでしょうかね。ハードロックともまた違う感じの激しいロック。ちょっとダサイ感じ。でも、声やアルバムで垣間見える遊び心や何より「幸せであるように」は素人からぽっと出たにしては、完成度が異様に高いです。ただ、楽曲としては、やはり「幸せであるように」以外は特に聴きどころもなく、しばらく放置していました。いろいろな音楽に触れて、耳が慣れてきたのでしょうか、再びこのアルバムを聴いて、うっ、となって、以来、ヘビロテです。「幸せであるように」以外の曲も、パワフルなヴォーカルで、美しいメロディーとは程遠い感じですが、聴きこむほどに味が出てきます。このころのパワフルなヴォーカルは神がかってます。私のはまり度としては4点から5点なのですが、他の人にお勧めするのは、少しためらわれます。直感的に良さがわからないと、退屈で苦痛しか感じないでしょう。

「Communication」(購入価格:105円 点数:3点)
 衝撃のデビューから四年後にリリースされたアルバム。声がクリアーになり、お上品になっています。ORIGINAL LOVEの声を薄くした感じです。また、楽曲も、若干ファンク路線は残しつつも、すっかりポップス路線です。メロディーラインもきれいに整っていますが、やはり一枚目を知っている者にとっては、もの足りなく感じます。これなら、FLYING KIDSでなくても聴ける、みたいな。


5.Do As Infinity

「BREAK OF DAWN」(購入価格:105円 点数:3.5点)
「NEW WORLD」(購入価格:105円 点数:3.5点)
Do As Infinityのファーストアルバムとセカンドアルバムです。エレキ、ギュンギュン系のロックです。ヴォーカルの伴都美子の低くて硬質な感じの声が魅力的。エレキがギュンギュンで、全体的に音が重いかな、と思ったらプロデューサーが亀田誠治。スピッツがロック路線になっていった時のプロデューサーですね。スピッツのアルバム「スーベニア」に似た感じの音です。ファンは、ファースト派とセカンド派に分かれるようですね。ちょっと暗めのファーストとポップなセカンド。私にはよく違いがわかりません。ただ、どちらも何かのタイアップ曲が入っていてどこかで聴いたことがあるような曲が多く、そういう意味ではキャッチャーで、すっとメロディーが入ってきて聴きやすいです。点数が3.5点なのは、積極的にお勧めするわけでもありませんが、Do As Infinityってどう?と聞かれれば、ああ、いいですよ、と答えるくらいのお勧め度という意味合い。ヘビロテではありませんが、時々たまらなく聴きたくなります。


 ということで、特に山場も無く、第四回目を終わります。次回が邦楽編第二弾になるか、洋楽編になるか、それともまったく明後日の方向に行くか。まだ決めていません。次回何を書くかは気分次第で。


散文(批評随筆小説等) W.K.第四回「低価格で買えるCD短評〜邦楽編第一弾」 Copyright たもつ 2011-08-28 20:45:12
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