満点の夏
花キリン

       
満点の暑さを引き連れて
夏はやってきた
蟻の大行列は
トンネル深く沈み込んで働くことを諦めた
公園の噴水は
温水となってまわりに放出し始めている
花々は枯れ始めた

氷を縫い込んだ
紳士のスーツが大人気で
エアコンは心臓のポンプを
自力で動かすことが出来ないでいる
日傘は風を通すだけで
役割を終えたように疲れきっている
ハットはカラフルだが
思考の頂点の一角を防ぎきるので精一杯だ

小石に躓くと白い湯気が出る
温度計は上昇し暑さを刺激していく
孤独な陽炎は
燃えつき焦燥感が漂っている
満天の夏
満点の熱さだ
夕立が来ると
噂話のように人の群れが騒いでいる
炎天下では冗長した暑さだけが
引き継がれていくのだろう





自由詩 満点の夏 Copyright 花キリン 2011-08-28 07:48:50
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