バウムクーヘン
やや
歩み進んでも
先は見通せなくて
道は丸まっているのだと知った
ぐるぐると続き
次第にぴったりくっついて
わたしはひとつの幹になる
傷付いた部分には
すぐに新しい樹皮が覆って
盛り上がって枝が生えた
根はどんどん伸びる
土壌はまだゆるいけど、大丈夫
背丈を伸ばすたびに
こぶだらけになって
穏やかになっていく
もう寒くないね
生ぬるい空気を雨が滑る
雨降られ、嫌いじゃないんだよ
糸を辿って思い出に触れる
雫に触れて豊かになっていく
忘れちゃいけないことを書き留める
覚えていたいことを刻む
平常過ぎる日常に恐れを感じて
それでも、悲しいことは減ってきた
どんどん丸まっていく道
内に向かって止まらない
ぐるぐるぐるぐる
膨らむバウムクーヘン
誰も巻き込めない
誰とも同化することはないんだよ
ただ、たんたんと、伸びる