「十六歳・最後の優等生」四(2010〜2010)
榊 慧



わだつみの声よ示せよその教え、遠くに見える鱶を眺めて

弾丸は砕くものだとこそ思へこぶしは何をするものだろう

もの言わぬ虫けらどもの歩み寄るそれを見ながら反抗するは。

オリオンの綱を緩めることなどが出来ぬだろうと仰せになって
            (ヨブに主なる神が嵐の中より)

青色の聖書机上に置きながらコーヒー飲みてただ黙っては。

教科書の読まぬページのつるつると冷えしそのままヘッセをめくり

独身の障害背負う叔父のため彫るように書く官製ハガキ

早朝に青い光を反射して輝きたる苔 ヨブ記を読みて




短歌 「十六歳・最後の優等生」四(2010〜2010) Copyright 榊 慧 2011-08-26 13:40:31
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