背中の感じる女
はだいろ


風俗は、浮気か。


女性に聞くと、
と言っても、水商売の女にしか聞けないけれど、
たいてい、
浮気のほうがましで、
風俗なんて、気持ちが悪いだけだ、
と言う。
理屈ではない、
生理的に気持ち悪いのだそうだ。

だけど、
男のほうからすると、
会社の女にどうこう思うわけでもなく、
お金を払って、
さっぱり遊ぶのだから、
よほど、ましじゃないかとも思う。


彼女ができてから、
めっきり、
遊ぶ回数は、確かに減った。
前回、1ヶ月以上前に遊んだ女が、
とびきりの美少女だったため、
(結局、その子は、その日一日の、
体験入店で、名前が消えてしまった。
ぼくが、最期のお客であった。)
そのせいか、
このまま、
風俗とはおさらばしても、よいような、
彼女を大切にしたいような、
気もしないでもなかったが、
いっぽう、
女の子が好きで好きでたまらないぼくは、
どうしても、
なにか、
新しい何かを求めて、
女の子を買ってしまいたくなる。


そして、
それは、
ひどい日の裏返しに、
余計、欲求が強くなる。


今日、とうとう、迷いに迷った末、
呼んでしまった女は、
いろいろ調べて、
すごく評判のよい子だったので、
間違いはないだろうと思ったのだけど、
実際は、
思いのほか、身体の大きい子で、
でも、
わりと気は合ったし、
ただ、
やたら、攻められたがりで、
まあぼくはSだからいいのだけれど、
お嬢さんの部屋に忍び込んだ庭番ということにして、
背中が感じてぞくぞくするというから、
あそこはちっとも濡れないのに、
背中を触ったりなめたりすると、
ひどくうつろにしなだれかかるのであった。


風俗は、浮気か。
もしかしたら、そうなのかもしれないし、
今やどうでもいいことだ。
名刺をもらったけれど、
メールをすることは、たぶんないと思う。
絶対ないとは、
言い切れない午前二時である。









自由詩 背中の感じる女 Copyright はだいろ 2011-08-25 01:58:42
notebook Home 戻る