まぶしいものの流れが
草野春心



  (嘘つき)



  と
  だれかに言われ
  ぼくは
  眼を醒ました
  八月の
  朝、はやく
  遠くから
  なにか
  まぶしいものの流れが
  ここにせせらいできている
  (嘘つき)
  風のように
  ぼくは
  いくつかの扉をぬける
  いま
  なにも
  どこにもない
  (嘘つき)
  風のように
  ぼくは
  読みかけの本をめくる
  そこにあることばを
  しずかに
  ぬすみとってゆく
  風のように
  (嘘つき)
  川のように
  (嘘つき)
  まぶしいものの流れが
  (嘘つき)
  ぼくは
  (違うね)
  この傷みは
  (嘘つき)
  傷んでいるものは



  いま
  光のように
  ぼくは
  ぼくは
  ぼくは





自由詩 まぶしいものの流れが Copyright 草野春心 2011-08-23 19:17:40
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