縁があったら また寄っとくれ
いねむり猫

薄暗いガード下を

みかん色の
悲しい色の
人肌色の街灯が

ぼんやり照らしているんです

ここでぼんやり 飲んでる連中は
頭のネジがゆるんでいるようで
じつは案外 切羽詰まっているんです

そこに座っている兄さんは 闇金に追っかけられて
もう10日も家に戻ってないし

そこの ぱりっとしたお父さんは
実はリストラに会ったことを 家族に話せないで
今日も明るい内からここにいる

そんで この店を手伝っている この私
男を追っかけて 家を出たわけ
小さい子を置きっぱなしにしてね

それでも みんなこの場所で 少しほっとしてる
ここで つらい時間を ちょっと止めてるわけ

このオレンジ色の街灯の下で

でも ここの時間も ゆっくり流れる
静かで 気付かない流れでも
やはり時は過ぎて
 
みんな それぞれ 自分の潮時ってやつを知って
ふらっと 消えていくよ

どこに流れていくのやら
ふらり ふらり と 時間のかけらに片足乗っけて
街をゆるゆる 滑ってく

街を流れて さようなら

つらい時間は ごめんなさい

心が固く握って放さない 悲しみは 
そっと抱いたまま 行くとしよう


縁があったら また寄っとくれ




自由詩 縁があったら また寄っとくれ Copyright いねむり猫 2011-08-21 08:51:15
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