わたしのいのちは天(そら)へはいかない
小原あき


わたしが死んだら
なるべく生き物がたくさんいるところへ
なるべくそのままの状態で
置いておいてください
土にかえったり
誰かの一部になったりして
わたしはわたしの
いのちを分解したいのです
なるべくいろんな物の中に取り込まれたい
それはわたしの選択肢が増えるということ
どれにこのたましいを
移そうかという選択肢が増えるということ
土になってしばらく黙っている気になるかもしれない
そうでなくて熊に食べられて熊の子になるかもしれない
はたまた土からすばやく木に取り込まれて
木の実になって鳥に食べられるのを待っているかもしれない
そうして鳥の子になって
いつか飛びたかった空を
自由自在に飛ぶかもしれない

わたしが死んだら
お墓になんて入れないで
あそこは硬くて冷たくて
すぐに次のいのちへいけない

なるべく多くのいのちのあるところへ
置いておいてほしいとおもうのです





自由詩 わたしのいのちは天(そら)へはいかない Copyright 小原あき 2011-08-19 20:46:10
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