夏、未明に
甲斐マイク
吐き出したいきでつくる
まあるい世界があって
けわしい亜熱帯のまんなかを
半ば溶けた自動車が走る
虹に飾られたハイウェイ
信号はすべて青
彼女はリンゴをかじる
分厚い密林をくぐり
ドライブ・イン・シアタアを抜けると
道の行きどまり、もうむこうは海で
ぼくたちは
いま
真空の日ざしのなかで
防波堤のうえに立っている
世界は夏を完備した
リリカル
な
箱である
自由詩
夏、未明に
Copyright
甲斐マイク
2011-08-16 21:27:07