ぼんくら
メチターチェリ

朝蝉が鳴いている
頭の中
五月蠅い五月蠅い五月蠅い
盆が暮れても暑さは衰えない

テレビを点ければABC放送が
全国高校野球選手権大会を中継している
画面の中
雲の欠けらただよう青空にサイレンが木霊する

涼しく気の利いた部屋の中のわたくしは
エアコンの運転音と蝉の声
デジタルハイビジョン放送が伝送する
現実よりワンテンポ・ツーテンポ遅い音響効果や

鮮やかな青 黄色い土煙 汗を吸ったユニフォーム
自身のくたびれた寝巻き姿をイメージしたのち
ふと 五年 十年 十五年と
まるで同じ情景を過ごしたように思う

一種のノスタルジーと改悛の念がわたくしの中に生きている

わたくしは冷蔵庫にある食材を漁り遅いめの朝食を作り始めた
茄子と挽き肉の味噌炒め
米を研いで飯を炊く
胡瓜は洗ってそのまま食べる


自由詩 ぼんくら Copyright メチターチェリ 2011-08-16 03:33:58
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