花キリン


寡黙なものは寡黙なままだ
高齢になってしまった
爺様と婆様
薪ストーブの時代を思い出している
かじかんだ思考が
チーズの溶ける仕草を真似ながら
五感の隅々へと広がっていく
懐かしい冬の香りだ
何とも長閑な時間で
今でも大事にしまい込んである
外は雪
理由もなく降り急いでいる
凍った食材を並べながら
一気に解凍する手品の時代
心休まるものは少なく
ため息までもが冷え切っている


自由詩Copyright 花キリン 2011-08-15 07:09:10
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