幸子ちゃん
藤鈴呼

問題が解けてしまえば 
夢の続きを観る楽しみが
半減しますから…

そう思い込ませながら 次の夜も 
眠りに就くのですね

*

幸子ちゃんと言う女の子が二人
両方とも 同級生なのだけど
過ごした時代が 違う

片方は さちこちゃん
片方は ゆきこちゃん

二人が絡まる糸は 無い筈なのに
夢では 二人が 私を 見上げてた

アパートの階段から
懐かしい顔を見つけた私は
名前を呼ぶ

さちこちゃん!

だけど それは ゆきこちゃんだ
何だか可笑しいと 感じながらも
夢は 進む

さち… いや、 ゆきこちゃんは
酒に酔って 帰宅出来ず
さちこちゃんも 仕事が有るので
私の部屋に 一泊させて欲しい
そう 言うのだ

すがるような 四つの目
傍らには 年老いた母

部屋が 狭いからね
泊めてあげたいのだけれど
布団も シーツも 無いのよ

少しの罪悪感に 駆られながら目覚めた
不機嫌な 朝の行方

久々の 塩風呂に 身体を浸し
心の結晶を 取り出して 磨く

昨日の風雨で 浴槽に落ちた石鹸を
ぬめらせながら 抜きとるように

キコキコ
もう一度
そんな 音が 響く時まで

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自由詩 幸子ちゃん Copyright 藤鈴呼 2011-08-14 16:20:05
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