いなくなったのは誰
青井とり


白いレースは翻り
裸足は茨の道を歩く
少女は笑っていた
何も謂わぬまま

いなくなったのは誰

雫が朝を濡らし
腕から百合が零れる
少女は笑っていた
何も知らぬまま

いなくなったのは誰

緑が石を蝕み
小さな名前を隠した
少女は笑っていた
何も映さぬまま

いなくなったのは誰

鏡は端を歪ませ
泡はやがて消える
少女は沈んでいゆく
何も謂わぬまま


いなくなったのは 誰



自由詩 いなくなったのは誰 Copyright 青井とり 2011-08-13 22:56:12
notebook Home