大事な紙
梅昆布茶

僕は
大切な紙を
無くしてしまった

それには
僕のすべての記録が詰まっている
真っ白な紙なのだ

だれかになにかを
書き込まれて
しまうかも
しれない

コピーに使われたら
どこかの会社の
顧客情報が
僕のすべてに
なったりは
しないか

ふんずけられて
だれかの靴裏が
僕のすべてに
なったりは
しないか

折り畳まれて
紙ひこーきになって
風にのり
調子にのって
カラスに
つつかれないか

すべての僕の
恥ずかしいことが
かつての都の
落書のように
人の目に触れ
伝聞されないか

でもいちばん
恐れているのは
僕の大事な紙には
何も書かれていない

ということを
知られること



自由詩 大事な紙 Copyright 梅昆布茶 2011-08-13 05:46:51
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