愛の国
梅昆布茶

今日も街には
愛のうたがあふれ
恋人たちは
夜のホテルへ急ぐ

阿部さんの提唱した美しい国は
愛国の印刷物を過剰に生産し
鳩山さんの友愛も
この国を
みごとに迷走させ

隣のねーちゃんは
安い男にちやほやされて
お手軽の愛に酔いつぶれ

マザーテレサの愛は闇を照らすシスタームーン
ダライラマは怒りの愛を説き

僕はといえば
四人の子持ちの
マドンナに
いたぶられる
阿呆鳥

これも愛あれも愛
みんな愛
きっと愛

街には愛があふれ
この国は素敵な
愛の国になってしまうだろう

いまだ男でも女でもない彼女と
契約書を交わそうと思った

お互いに
失うものもない
想い

それでも
愛の名に価する
血を
失えるか

え〜と
あとなんだっけ

ちょっと立ち直って
わずかに残るプライドらしき
アホらしきものに
灯をつけて

いったい愛は成就?


自由詩 愛の国 Copyright 梅昆布茶 2011-08-12 22:39:13
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