たんぽぽ日和
千波 一也


あまりにも
咲き過ぎているから、と
たんぽぽを抜く

紫いろの可愛い花や
可憐にしろい小花の群れは
そのままにして
たんぽぽを抜く


 たんぽぽは
 花、という肩書きを剥がされて
 そこらの日陰に無造作に
 雑草として捨てられる


なにごとも
度を過ぎてはいけないことだから
たんぽぽ抜きは仕方ない

控えめで
めずらしい花たちが
捨てられづらいのも仕方ない


 わたしの日々も
 まったく同じようにして
 仕方ないことばかりの
 くり返し


積もりゆくたんぽぽの為になど
わたしはひとつも嘆かない

まぶしい陽射しと
にじみ出る汗との不快さに
負けじと黙々
励むだけ




自由詩 たんぽぽ日和 Copyright 千波 一也 2011-08-11 10:45:25
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