赤トンボ
花キリン

       
送り火を焚いて送り出し
お盆の月を越えると
残暑という夏の名残りだけが残った

ご先祖様の供養を
夏の真ん中に置いて兄弟達で
あの頃を懐かしんだ

残暑お見舞いが届いた
百日紅が絵葉書の中心に置かれ
赤トンボの絵が描かれていた

人の姿が少しずつ消え
絵葉書から飛び出した赤トンボが
上空を旋回している

日が一気に短くなって
人恋しさに手を添えるようにして
夕暮れ色に染まり始めた


自由詩 赤トンボ Copyright 花キリン 2011-08-10 06:27:57
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