雨と感情(こころ)
洞野いちる

見上げた曇天(そら)から
幾つもの雫が舞い落ちる
ぽつり ぽつり 雨音が地を黒く染めるように
僕もあなたを想う涙で濡れている

雨は汚れた町を洗い流し
明けた空は希望を運んでくるという
もしそれが本当なら
僕の心も洗い流して

心にこびりついた汚れた感情
嫉妬、束縛、独占欲……
あなたを想うたび 
今でも醜く脹らんでゆく

希望の兆しのないまま雨は明ける
これから幾度雨が降ろうが
僕の心から
あなたを想う気持ちは消えないだろう

いきすぎた愛情は
愛する相手を失っても
僕の心の中で蠢き続ける

見上げた曇天(そら)から
幾つもの雫が舞い落ちる
ぽつり ぽつり 雨音が地を黒く染めるように
僕もあなたを想う涙で濡れている

二度と逢えなくても
僕は想い出のあなた 抱きしめ
心にこびりついた汚れた感情
今までもこれからも
醜く脹らませてゆくだろう



自由詩 雨と感情(こころ) Copyright 洞野いちる 2011-08-09 22:10:38
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